ギガオーナー兼税理士鳥山の相談記録 1
その1 初めての物件購入希望のサラリーマンご夫婦
日曜日の午前中、ホームページから予約が入っていたAさんご夫婦と池袋オフィスで面談しました。Aさんは、東京都内在住のサラリーマンで30代後半、年収は1000万円くらいといいます。第一子が産まれたのを機会に、夫婦で安定収入を得ながら財産を残せる投資はないかと話し合い、本を読んだりセミナーに参加して、最終的にたどり着いたのがアパートやマンション経営だということでした。
ご質問は、初めてアパートを購入する場合の心構えと注意点、個人で買うか法人で買うかという選択肢を、投資と節税の観点から教示願いたいというものでした。ご夫婦は1件、当たりを付けている物件があり、「物件概要書」を持参されていたので、これをもとに話をさせて頂きました。

1.心構え
① 自己資金を30%以上確保しておく
築古物件(木造の場合22年が耐用年数なのでこの物件の場合4年オーバーしている)は融資づけが難しい。(貸して頂ける銀行が限られる)登記費用、仲介手数料で5%は必要。
② インスピレーションを大切にする
徒歩10分は、アパートとしてギリギリの距離です。土地建物の立地ロケーション、見た感じは重要です。最後は購入希望金額を「買付証明書」に指値してこれがかなえば縁がある、くらいに考えましょう。
③ 空室の原因は何か?
自分が借りて住むとしたらどこが欠点?集合ポストを新品にするだけでも効果がでる場合もあれば、全面塗装をしないとダメという場合もあります。(200万近くかかります)
2.節税
① 個人で取得か法人で取得かの選択
サラリーマンは給与所得でかなりの税金を支払っているため、原則的には法人で取得する方が節税になります。個人の税率43%、法人の税率23%、奥様が専業主婦なら奥様が社長の法人を設立し、奥様に配偶者控除のできる給与(年103万円)を支払うことで、法人個人ダブルの節税ができることと、サラリーマンの夫の収入を給与のみにすることができ、勤務先にも問題が起きにくくなります。ただ、給料が600万円以下とか、購入物件の利益(不動産所得)が10万円※までの場合は、1棟目は個人で始めても良いと思います。
※ 青色申告特別控除:青色申告を申請して一定の帳簿をつけると最低10万円、事業的規模になると65万円の控除が受けられます。
② 印紙税の節税
売買金額が5000万円以下で1万円です。売主、買主が各1通作成するとそれぞれ1万円ずつ貼付しなければなりませんが、1通を作成し、原本を買主が、写しを売主が所持すれば、折半で5000円節税です。
③ 減価償却費を多くとる
「買付証明書」に建物の金額を土地に対して多めに記載し、建物比率を上げることで消費税還付、減価償却費を多くし、大幅な節税が可能になります。売買契約書に建物金額を記載しない場合は、固定資産税の評価額で土地建物を按分した金額が合理的な金額とされます。または、不動産鑑定士に依頼して、建物を時価のストライクゾーンぎりぎりまで上げてもらう方法もあります。 固定資産税評価額は、この物件の場合おそらく土地90%、建物10%くらいでしょう。これを売主買主がお互いに合意した金額として、土地50%、建物50%と契約書に明記したとき、これは認められます。ただし、たまに土地10%、建物90%にしたいと相談される方がおられますが、やり過ぎは禁物とお伝えして納得していただいております。
Aさんご夫妻は納得され、やはり不動産賃貸を多数実践されている税理士の説明は説得力があると大変満足され、購入したあかつきには、確定申告についてもさらに詳しく打ち合わせをすることになりました。